多様な時代。男性にだってお化粧してあげたいって思うんです|野田市 アイキャリア
結婚するしない・子どもがいるいない
などの役割や
年齢・経済状況・住む地域などの背景は
女性たちの様々な選択に大きく影響します。
ここでは
役割・背景を自分のものにし、
自分の生き方に向き合い、
自分に納得しながら生きている、
そんな素敵な女性たちを特集します。
今回は、美容師としてご活躍のMさんに
お話しを伺いました。
■本日はよろしくお願いいたします。
はじめに、現在の状況を教えて下さい。
2年前、
老若男女、障害の有無、LGBTなどなど
とにかく誰でも利用できる美容室を
コンセプトにお店をオープンしました。
病気やケガをしても行きやすい店づくり、
外出が困難になっても出張で美容のお手伝い、など
皆が社会に参加できる、
孤立する人をつくらない、
という想いを大切に続けています。
■Mさんは今年の4月から理容師の資格を
とるために学校に通われているそうですが
美容師なのに理容師の勉強をするのは
なぜですか?
まず、皆さんに聞かれるのは
何が違うの?ってことです。
大きな違いは、
美容とは、容姿を「美しくする」
理容とは、容姿を「整える」って
美容師法と理容師法でそれぞれ定義
されているんです。
ですから、
理容師にしかできないんです。
■その様な違いがあるんですね!
初めて知りました。
お客様のご自宅などに訪問すると
「顔剃ってくれる?」って言われることが
時々ありました。
私はお客様のご要望を断ることは
ほとんどありませんが
この点に関しては応えられない…という
申し訳ない気持ちや
“美容師って一体何なんだろう?” という
モヤモヤを抱えていたんです。
別に男性客を呼びたくて
理容師を取るわけではなくて
「こんなこともできるよ」って
選択肢を1つ広げたかった、
ただそれだけです。
それに、こんな多様な世の中
お化粧するのって女性だけじゃない。
この先、男性でお化粧したい
という人がいたら
ひげを剃って綺麗にお化粧してあげたい!
って思います。
美容を通して人を幸せにできたら
私も幸せなんです。
■まさにお店のロゴにもある
「あなたのための美容室」なんですね。
先ほどお客様のご自宅へ訪問するお話が
ありました。
私は、Mさんと出会って初めて
訪問美容という存在を知ったのですが、
詳しく伺っても良いですか?
私は、福祉美容師という
福祉美容師とは、介護が必要な方や
障がいを抱えている方に施術するための
知識を持っています。
知識を持っていることで
ご自宅や施設、病院などに伺っても
お客様の状態に合わせて施術することが
福祉美容師を取るきっかけになったのは
15年前の祖父の介護でした。
私は、施設にいる祖父の髪を切りに
行っていたのですが
「他の利用者さんはどうしてるんだろう?」
ってふと思ったんです。
そうしたら、訪問している美容師が
いるということを知りました。
■おじいさまの介護がきっかけだったのですね。
資格を取った後、
実際に訪問美容の活動をする
きっかけになったのは
福祉美容師の集いで
「手伝ってくれない?」と
声をかけてもらったことでした。
それから3~4ケ月後、
自分の中で
と、思うようになり、
当時勤めていた会社に辞意を伝えました。
■店舗での美容師と、訪問しての美容師。
Mさんが「訪問」に惹かれたのはなぜですか?
お店に来られるお客様には自由がある。
自分で、
「行くお店」も「時間」も決められる。
言い方悪いかもしれませんが
別に私が担当しなくても良いんです。
でも、訪問先のお客様には
切りたくても切れない人や
私が行かないとカットできない。
そこが「訪問」を選んだ理由です。
■実際に訪問美容をメインに
お仕事するようになっていかがでしたか?
訪問美容って高齢者のイメージが
あったんですが、
実際やってみると訪問先の多くは
障がい者施設でした。
あるところでの光景は、
1人に対して2人がかりで
カットしていました。
とにかく早く仕上げるために、です。
逃げてしまったり、暴れてしまう人を
押さえつけながらカットしている…
その、「効率」しか見ていないやり方に
なんか嫌だなって思いました。
みんなが幸せじゃないんです。
当時の私は
障がい者のことも
関わり方もわからない様な状態。
上手くカットできず悩む時期がありました。
そんな時に救ってくれたのが
美容師じゃない人たちとの出会いでした。
施設のスタッフさんたちです。
障がい者のことを
障がい者の皆さんって心がピュアだなって
ある時、そんなピュアな人たちと
接している自分が
すごく素でいられることに気づいたんです。
お店で働いていた時は、お客様の前で
“装っている自分” でしたから(笑)
■訪問美容を長く続けてこられて、
Mさん自身の考え方に変化が出てきたそうですが?
以前は、
髪が切れない」と思っていたんです。
でも、
ちょっとお手伝いがあると
自分でできる人って意外にいることが
わかりました。
障がい者に限らず高齢者もそうです。
「えっ?この人買い物は自分で行くのに
なんで髪切るのは来てもらうの?」とか(笑)
だから、
葛藤がありました。
ただ甘やかしているのではないかって。
ですから、今、
訪問のご依頼があったらまず先に
お客様の状態を伺うようにしています。
お話をしていく中で、
「お店に行ってみよう」
と、最初から来てくださった方も
いらっしゃいましたし、
初回は訪問しても2回目以降には
お店に来てくださる方もいらっしゃいます。
訪問か来店かの選択肢はあってもいい。
でも、できれば訪問はしない。
お店は誰もが過ごしやすいようにして
いるので
来れるならぜひ来ていただきたいですね。
■優しくもあり、厳しくもある。
Mさんのお人柄が伺えますね。
たくさんの方々に支えられていて
本当に有難いと思っています。
下は0歳から上は100歳近い方まで
幅広いんです。
開業する時、業者さんから
「お客様のターゲットは?」
って聞かれたのですが、
ターゲットってよくわからなくて…
「みんな!」
って答えました(笑)
開業して集まってくれたお客様が
私のターゲットなんです。
■最後に、Mさんが大切にしている
想い・こだわりがあれば教えてください。
「出来ないと言ったら出来ない。
出来ないのではなく、
どうやったらできるかを考える」
というのを忘れずにいます。
そう考えると
わりと新しい事もできちゃったり
するんですよね。
結局この考え方が仕事やお店づくりに
繋がっているんだなって思っています。
(ブログの記事からお店の様子や
Mさんのお人柄が伺えますよ)
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