教養を得る幸せ、それが私にとっての心の豊かさ|野田市 アイキャリア



結婚するしない・子どもがいるいない

などの役割や

年齢・経済状況・住む地域などの背景は

女性たちの様々な選択に大きく影響します。


ここでは

役割・背景を自分のものにし、

自分の生き方に向き合い、

自分に納得しながら生きている、

そんな素敵な女性たちを特集します。





今回は、画家としてご活躍のTさんに

お話を伺いました。




■本日はよろしくお願いします。
はじめに、現在の状況を教えて下さい。



子ども2人は既に成人し、孫が3人います。

日本画を始めて30年で、

指導者として教えるだけでなく

今でも生徒として

遠くまで習いに行っています。


院展(=日本画を対象とした、

日本美術院の公募展)の入選を目指し、

挑戦し続けて10年目。

やっと2年前に初入選しました。

67歳でした。

その後連続で入選し、

今は3回目の入選を目指しながら
毎日アトリエに籠っています。




■30年以上同じことをやり続ける
という事は大変なことだと思いますが?



向上心だけはありました。

公募展に出品しては落選する、

を繰り返していて

もちろん落選したときはがっかりしますが

それが次のパワーになりました。

仲間が入選できて自分が落選した時もあります。

そうなった場合、

自分には才能がないのではないか?と

自信が無くなったりするかもしれないけど

私の場合それがありませんでした。



悔しいんです。

究極の負けず嫌いなの。

同じ人間なんだから、絶対自分にも

できるはずだって。



それと、

この30年、ずっと同じ環境に居続けた

わけではありません。
指導者を6回変えてきました。

自分が目指す絵を指導してくれる先生を

見つけなければ意味がないでしょ?


経験者に聞いたりしながら自分で開拓を

続けました。

ですから、やり続けたと言っても

この30年はたくさんの「変化」を

自分で作ってきたと思っています。





■Tさんには昔からコンプレックスがあった
そうですがそのコンプレックスを
どう乗り越えたのですか?



学歴のコンプレックスはずっとありましたね。

美大を出ていないというだけで

馬鹿にされたこともありました。



子どもの頃、美大に入りたかったんです。

しかし親の反対もあり、

夢を叶えることなく銀行に勤めました。



諦めきれず、働きながらデザイナーの学校に

通ったこともありましたが

仕事との両立ができず、

続かなかった過去があります。




ずっと学歴のコンプレックを引きずって

きましたが、数年前、受賞者と交流する

レセプションに参加した時に

自分以外にも、学歴なく実力だけで

入選している女性に出会ったんです。


学歴なんて関係ないんだってその時初めて

気づくことができました。

コンプレックスを手放せるまで

30年かかりましたね(笑)





■昔と今の女性の生き方はだいぶ変わってきていると思います。
女性の生き方についてどう考えますか?



いくら時代が変化しても、

環境が変化しても、

心にゆとりを持つことが大切だと思います。




そのためには、

自分が心から好きだと思える事を探すこと。

だって、

ただ家事をやって子育てしてるだけでは

自分の「心」がつまらないでしょう?




私は昔からデザインしたり制作することが

好きでした。

それこそまだ子ども達が小さいころ、

パッチワークを習いに行ったことが

ありましたが、

先生が生地や材料を全て用意して

くれるんですね。

ですから、当たり前ですが皆同じ作品が出来上がる。

それが私には全く面白くなかったんです。




作るのは面白いですが、これじゃない、

心から求めていることと違うなって

思ったんです。

やってみて自分に合わないと思ったり

失敗して嫌になったりしたら

違うものをやればいいんです。

とにかく外に出る事で見つかると思います。



人生には生きがいが大切。

生きがいって、自分が生きていく中で

「一番楽しくできる事」

を見つけることだと思うんです。



楽しい!面白い!もっとやりたい!

楽しくない!面白くない!何か違う!

という自分が感じる素直な心の声を

大事にしてほしいなと思います。




■Tさんはこの先、どの様に歳を重ねていきたいですか?



昨年100歳でお亡くなりになった

日本画家の堀文子さんの様に生きていきたいと思っています。



一生を楽しんで、そして消滅していく。

それが人生なんじゃないかなと思います。





■Tさんにとっての座右の銘とは何ですか?



「ぼろを着てても心は錦」って言葉

知ってるかしら?

贅沢はしないけれど、いつも心が錦の様に

豊かでありたいなと思っています。



いつも心が満たされているって

幸せですよね。

心が豊かでないと良い絵が描けない

っていうのもあります。


そうある為に、

やはり教養を得ることは幸せな事ですし、

それに対して努力する事も必要。



例えばここに1万円があったら

何に使いますか?

人それぞれの価値観ですが

私は迷わず学びに使います。

それが私にとっての豊かさです。




■最後に、これを読んでくださっている
若い女性達にメッセージをお願いします。



私は、67歳のおばあちゃんでも

自分を評価してくれる場があったことに

とても感謝しています。



年齢は関係なく、好きな事を見つけて

行動してください。

そしてありのままの自分をどんどん

“表現”していって下さい。

私の場合、その表現するものがたまたま

絵でした。




残念ながら人は、

自分の事は自分が一番良くわかっていない。

だからこそ

いろいろな人と出会い

人との対話を楽しみ

人に評価してもらい、意見を聞く。




それを繰り返すことによって

自分に自信を持ち、

心の豊かさにつながっていくんだと

思っていますよ。

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